文子の世界遺産

■当初は「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」としたが、諮問機関であるICOMOSのアドバイスによりテーマを「潜伏キリシタンの文化的伝統」とし、構成資産も集落名義へと変更、教会が主体でなくなった。
　歴史的に①宣教師不在とキリシタン「潜伏」のきっかけ
　　　　　②潜伏キリシタンが信仰を実践するための試み
　　　　　③潜伏キリシタンが共同体を維持するための試み
　　　　　④宣教師との接触による転機と「潜伏」の終わり　　　に構成資産の背景は分かれます。
（太字は訪問済）

所在地	名称	歴史
長崎市	大浦天主堂：国宝	④
	外海の出津集落：重要文化財出津教会堂と旧出津救助院を含む	②
	外海の大野集落：重要文化財大野教会堂を含む	②
南島原市	原城跡	①
佐世保市	黒島の集落：重要文化財黒島天主堂を含む	③
平戸市	平戸の聖地と集落 [春日集落と安満岳]	②
平戸市	平戸の聖地と集落 [中江ノ島]	②
北松浦郡小値賀町	野崎島の集落跡：旧野首教会堂を含む	③
南松浦郡新上五島町	頭ヶ島の集落：重要文化財頭ヶ島天主堂を含む	③
五島市	久賀島の集落：重要文化財旧五輪教会堂を含む	③
五島市	奈留島の江上集落 [江上天主堂とその周辺]：重要文化財江上天主堂を含む	③
天草市	天草の﨑津集落	②

■大浦天主堂

江戸時代幕末の開国後、1864年に竣工し、日本に現存するキリスト教建築物としては最古である。正式名は日本二十六聖殉教者聖堂。その名のとおり日本二十六聖人に捧げられた教会堂で、殉教地である長崎市西坂に向けて建てられている。
日本二十六聖人とは1597年2月5日、豊臣秀吉の命令によって長崎で磔の刑に処された26人のカトリック信者のことで、カトリック協会により聖人に加えられている。

■1865年3月17日、浦上(長崎市)の住民十数名が天主堂を訪れた。そのうちの40～50歳くらいの女性がひとり、プティジャン神父に近づき自分たちがカトリック教徒であることを告白した。
その後、プティジャン神父は密かに浦上や五島などに布教を兼ねて訪れ、隠れた信者の発見に努めた。浦上だけでなく長崎周辺の各地で多くのカトリック教徒が秘密裏に信仰を守り続けていたことがわかった。この「信徒発見」のニュースはやがて当時の教皇ピオ9世のもとにもたらされた。教皇は感激して、これを「東洋の奇蹟」と呼んだという。

大浦天主堂は「潜伏」が終わるきっかけとなる「信徒発見」の場所であるため、④宣教師との接触による転機と「潜伏」の終わり　の段階の構成資産である。

■奈留島の江上集落 [江上天主堂とその周辺]

五島列島の潜伏キリシタンの始まりは、人口が減少し開墾などに人手不足だった五島藩が、1797年五島への領民移住を大村藩に依頼し、領内にキリシタンがいることを知っていた大村藩が厄介払いしたいという思惑から、大村藩外海地方のキリシタン農民108人を移住させたことによる。
五島ではキリシタンの取り締まりが大村ほど厳しくなかったことと、藩の産児制限政策を嫌った(カトリックでは堕胎禁止)こともあって、その後も3000人余りが移住した。しかし、農業に適さない山間の僻地や、漁をするにも不便な辺鄙な入り江、離れ小島など、貧しい土地に住むしかなかったため、生活は非常に厳しいものだった。

江上集落も1797年に外海より4家族が移住してきたことに始まる。
江上も、後ろは山の海に面した入り江にあり平地は僅かであった。
1873(明治6)年に禁教令が解かれ、1881年にフランス人司祭によって4家族全員が洗礼を受けカトリックに復帰し、1906年に最初の簡素な教会堂を建てた。
江上集落も④宣教師との接触による転機と「潜伏」の終わり　の段階の構成資産である。

現在、カトリック信者は1世帯1人(赤い屋根の家)になってしまった江上集落です。

■江上天主堂。
教会の保護者は聖ヨゼフ。
現在の教会堂は1918年に建てられた。当時の信者は40～50戸だったが、キビナゴ漁で建設資金を貯め、教会用地は自分達で山を切り崩して造成した。
設計施工は長崎県を中心に多くのカトリックの教会堂建築を手がけた鉄川与助で、クリーム色の板張り壁に水色の窓枠がはめられ、ステンドグラスの代わりに透明ガラスに花を描いている。また大雨が降ると建物周囲を水が流れるため、高床式構造になっている。

■久賀島(ひさかじま)の集落

久賀島の集落は、潜伏キリシタンが信仰の共同体を維持するに当たり、どのような場所を移住先として選んだのかを示す4つの集落のうちの一つである。
五島藩が積極的に久賀島に開拓移民を受け入れていることを知り、既存の集落と共存できそうな場所として選んで移住し、漁業や農業で彼らと互助関係を築きながら、ひそかに共同体を維持した。
そのため③潜伏キリシタンが共同体を維持するための試み　の段階の構成資産である。

■旧五輪教会堂。
教会の保護者は聖ヨゼフ。
禁教が解かれた後の1881年に久賀島で最初の教会堂である浜脇教会が完成し、1931年に浜脇教会の改築に伴い、五輪教会として移築された。
1985年傷んだ五輪教会を取り壊して跡地に新教会を造ることになったが、解体寸前、貴重な文化財を守ろうとの声が起こり、新教会は横に造られた。

■旧教会は、瓦葺木造ながらゴシック様式の特徴であるリブ・ヴォールト天井です。

■牢屋の窄(ろうやのさこ)殉教地。
1865年の信徒発見後、1868(明治元)年以降五島各地で「五島崩れ」と呼ばれるキリシタンの摘発が吹き荒れた。そのきっかけは、信仰を表明した200人余が6坪ほどの牢屋に8ヵ月間閉じ込められ、子どもを含む42人が死亡するという久賀島の事件であった。
この悲劇がヨーロッパに伝えられると、日本は各国から非難を受けるようになり、やがて明治政府はキリスト教を認めることとなった。

■頭ヶ島(かしらがしま)の集落

頭ヶ島の集落も久賀島の集落と同じく、潜伏キリシタンが信仰の共同体を維持するに当たり、どのような場所を移住先として選んだのかを示す4つの集落のうちの一つで、③潜伏キリシタンが共同体を維持するための試み　の段階の構成資産である。
病人の療養地として人が近づかなかった頭ヶ島を移住の適地として選び、仏教徒の開拓指導者のもとで信仰をカモフラージュしつつ移住し、ひそかに共同体を維持した。

写真は頭ヶ島の模型図で、赤マルで囲んだ4つの集落があります。

■頭ヶ島教会のある白浜地区。

■頭ヶ島天主堂。
教会の保護者は聖ヨゼフ。
1887年に木造教会が建てられ、1919年に鉄川与助の設計施工で現在の石造教会堂が完成した。
日本全国でも珍しい石造の教会堂は、近くの島から切り出した石を、信者らが船で運び組み立てた。内部はロマネスク調の船底天井で、随所に椿をモチーフにした花柄文様があしらわれている。

■教会堂内部では撮影禁止だったので、外の開いた窓から写した内部。
船底天井や椿がわかるかしら。

■原城跡

原城跡は、①宣教師不在とキリシタン「潜伏」のきっかけ　の段階の構成資産である。
原城はキリシタン大名有馬氏の居城であった城で、有馬氏が移封後に日野江城主となった松倉氏が新たに島原城を築城したため、一国一城令の影響もあり日野江城とともに廃城となった。

■江戸幕府が禁教政策を進める中、松倉氏が過酷なキリシタン弾圧を行い、領民に苛酷な政治を敷いた（年貢を納められない農民や改宗を拒んだキリシタンに対し拷問・処刑を行ったことがオランダやポルトガル人の記録に残っている）ため農民一揆が起こった。また天草でも小西行長・加藤忠広の改易により大量に発生していた浪人を中心にして一揆が組織されていた。
1637年12月、一揆の群衆は天草の一揆群衆と合流し、小西行長の家臣の子孫といわれる天草四郎を総大将とした「島原・天草一揆(島原の乱）」が勃発し、廃城となっていた原城に約3万7千人が立て籠もり、組織立った籠城戦を展開して幕府軍と戦闘を繰り広げることとなった。
一揆軍の3ヶ月に及ぶ籠城で弾薬・兵糧が尽き果ててきて、ついに1638年4月11日から12日にかけての総攻撃で一揆軍は老若男女の別なく一人残らず皆殺しにされた。

全国的に禁教政策が進む中、「島原・天草一揆」は、江戸幕府に大きな衝撃を与え、カトリック宣教師の潜入の可能性のあるポルトガル船の来航の禁止と2世紀を越える海禁体制(鎖国)の確立、これに続く国内宣教師の不在という状況をもたらした。
これによってキリシタンは「潜伏」し、自分たち自身でひそかに信仰を実践し、移住先を選択するという試みを行っていくこととなった。

■本丸には、一揆の際に礼拝堂が建てられ、キリシタンの教えが説かれていたという記録が残されており、発掘調査により、北側の広場から建物の痕跡が確認され、メダイや十字架などの信心具も発見された。

■幕府軍は乱の終結後、再び一揆の拠点として使用されることのないよう原城を徹底的に破壊し、虐殺された一揆軍3万7千人の遺体は廃墟となった原城の敷地内にまとめて埋められた。
発掘調査により、破壊された石垣の下から成人男性のほか女性や子どもの多数の人骨が出土し、メダイをはじめ、城内にて鉄砲玉を原料に急ごしらえした十字架なども発見された。

ここは、石垣の破壊状況を視覚的に理解できるよう、破壊された痕跡をそのままの状態で展示しているそうです。

■天草の﨑津集落

天草下島南部を領有していた天草氏が、1569年に南蛮貿易目的でルイス・デ・アルメイダを招き布教が行われ、古くからの良港であった﨑津集落にもキリスト教が広まった。

禁教期の﨑津集落の潜伏キリシタンは、大黒天や恵比須神をキリスト教の唯一神であるデウスに、アワビの貝殻の内側の模様を聖母マリアにそれぞれ見立てるなど、漁村特有の生活や生業に根差した身近なものをキリシタンの信心具として代用するということによって信仰を実践した。
そのため、②潜伏キリシタンが信仰を実践するための試み　の段階の構成資産である。

■写真は﨑津諏訪神社から見た﨑津集落。

■海側から﨑津諏訪神社方向を見た﨑津集落。

■内側の模様を聖母マリアに見立てて拝んだアワビの貝殻。

■禁教期の1647年に集落の守り神として創建された﨑津諏訪神社。
住民は氏子を装い、ひそかにオラショ（日本のキリシタン用語で「祈り」の意味）を唱えた場所である。

■禁教が解かれた後の1888年、﨑津諏訪神社の隣地に最初に建てられた﨑津集落内の教会堂の跡地。
現存する建物は、1957年に建てられた修道院で、現在は使用されていません。

■﨑津教会。
フランス人のハルブ神父は、1934年に新たな教会堂を建設したが、全体をコンクリート建築にする予定が用地の取得に費用がかかり資金不足となり、教会堂の後半分は木造になっている。

この場所は、﨑津集落の庄屋役宅の跡地で「絵踏」が行なわれていた所であり、ハルブ神父はあえてこの場所にこだわり、かつての絵踏の場所に祭壇を置いたと伝えられている。

教会内部は教会としては珍しい畳敷きでした。

■平戸の聖地と集落 [春日集落と安満岳]

平戸にキリスト教が広まったのは、1550年にフランシスコ・ザビエルが来航し布教を始め、領主であった松浦隆信が南蛮貿易のため庇護したことによる。
春日集落は松浦氏の家臣でキリシタンになった籠手田(こてだ)氏の所領であったため、1558年より宣教師ガスパル・ヴィレラによって布教が始められた。1561年にルイス・デ・アルメイダが春日集落を訪れ教会堂を建立した。しかし1587年の豊臣秀吉によるバテレン追放令も波及し、神父不在状態で信仰を維持したが、1599年の籠手田一族の追放によって教会堂は失われた。

禁教期の春日集落の潜伏キリシタンは、禁教初期にキリシタンの処刑が行われた中江ノ島を殉教地として拝み、聖水を汲む行事を行う場とするとともに、キリスト教が伝わる以前から山岳仏教信仰の対象であった安満岳(やすまんだけ)なども併せて拝むということによって信仰を実践した。そのため、②潜伏キリシタンが信仰を実践するための試み　の段階の構成資産である。
解禁後もカトリックに復帰することはなく、禁教期以来の信仰を実践し続けたが、現在では個人的に信心具を祀る程度になっている。そのため集落に教会堂は存在しない。

春日集落は安満岳から伸びる二筋の尾根に挟まれた長さ1キロほどの谷状の地形上に位置し、当時は安満岳を超えるか船で出るしかなく、外界から遮断されており潜伏キリシタンが密かに暮らすには最適だった。

■春日集落の棚田。
江戸時代に潜伏キリシタンが切り拓き、江戸時代の絵図と比較しても、16世紀から禁教期を経て現在にいたるまで集落の景観はほぼ変わらずに維持されているそうです。
写真は丸尾山の上から撮っています。

■安満岳(やすまんだけ)。
奥に見える山です。

■平戸の聖地と集落 [中江ノ島]

平戸島北西岸の沖合2kmに位置する中江ノ島は、東西約400ｍ、南北約50ｍ、標高34.6ｍの無人島で、禁教初期に平戸藩によるキリシタンの処刑が行われた記録が残されている。
潜伏キリシタンがこの島に病気の治癒を祈願し、亡くなった死者の顔を島に向けて埋葬したという。春日など平戸島西海岸の潜伏キリシタンにとって、岩からしみ出す聖水を採取する「お水取り」が行われる重要な聖地である。

■中江ノ島。
上陸禁止の島のため、対岸から撮影しました。

■外海(そとめ)の出津(しつ)集落

外海地域では、1571年にイエズス会宣教師カブラルらが宣教活動を行いキリスト教が伝わった。それにともなって多くの者が洗礼を受けたのをはじめ、1592年には外海北部の神浦(こうのうら)地区に宣教師の住居としてレジデンシアが置かれるなど宣教が進んだ。

禁教期の出津集落の潜伏キリシタンは、自分たちの信仰を隠しながらキリスト教由来の聖画像をひそかに拝み、教理書や教会暦をよりどころとすることによって信仰を実践した。そのため、②潜伏キリシタンが信仰を実践するための試み　の段階の構成資産である。
また、この地域から多くの潜伏キリシタンが五島列島などの離島部へと移住し、彼らの共同体が離島各地へと広がることになった。
解禁後、潜伏キリシタンは段階的にカトリックに復帰し、集落を望む高台に教会堂を建てたことにより、彼らの「潜伏」は終わりを迎えた。

■道の駅「夕陽が丘そとめ」から見た出津集落。

■出津教会堂。
1879年にド・ロ神父が外海に着任した後、1882年に自ら設計し、新たに建設した。
出津教会堂には海からの強風を避けるために低い屋根や天井が採用され、1891年と1909年の増築にともなって前後にふたつの塔が建つなど外観に特徴がある。

ド・ロ神父はフランス人の貴族出身の神父で、39歳のとき外海へ赴任したが、外海の人々のあまりの貧しさに衝撃を受け、信仰の拠点として出津教会堂、大野教会堂を建設したほか、授産・福祉施設を設立し、開墾地で農業を教えた。また港を整備して漁民を助け、村の道路整備も裏で支えた。診療所や伝染病治療など医療救護事業を通して多くの命を救うなど、多彩な才能で外海のために尽くした。しかもこれらはすべてド・ロ神父のフランスの実家から譲り受けた私財で、74歳で亡くなるまでフランスへ帰国することなく外海に捧げた。
今は自らが出津に造った墓地に眠っている。

説明をしてくれた地元の教会守の方のド・ロ神父への尊敬の念というか、慈悲で守ってくださる方のように話されるのが印象的でした。

■外海の石積集落景観。
外海では結晶片岩の石積がよく見られます。

■旧出津救助院。
https://shitsu-kyujoin.com/
ド・ロ神父が1883年に創設した女性のための授産施設。
「海難事故や病気で一家の働き手である夫や息子を失った妻や母、仕事のない娘に働く場を」と願い、織布、織物、素麺、マカロニ、パン、醤油の醸造などの授産施設を建設し、女性たちの自立を支援した。

授産場。(国の重要文化財)
綿織物の製糸から製織、染色、そうめんやパンの製造、醤油等の醸造が行われていた。
また建築工事そのものが授産事業でもあった。

外観。

1F。

2F(祈りの場、寝泊りした場所)。

授産場2Fにあったハルモニュウムオルガン(足ぶみペダルで空気を送り込み鍵盤で演奏する楽器)は、ド・ロ神父が購入したもので、このタイプは世界で4台しか残っていないそうです。高音部3列、低音部2列のリードを持つそうで、シスターが弾いてくれたのですが、まるでシンセサイザーのように多重演奏に聞こえる美しい音色でした。

マカロニ工場。(国の重要文化財)
ここで作ったマカロニは当時長崎にいる外国人に売られており、人気のため専用の工場を建てたそうです。

旧製粉工場。
そうめんなどの材料になる小麦の種子をフランスから取り寄せて栽培し、水車小屋を使って製粉した。
こうしてつくられたそうめんは、「ド・ロさまソーメン」の名で今も親しまれている。

薬局。
外海地区に腸チフスが蔓延し、地元のフランスやイギリスから医療器具や薬品を取り寄せ、医師を雇い診療を行った。

ド・ロ塀。
当時、日本で石積みの接合剤として使用されていたアマカワが雨に打たれるのに弱いのを見たド・ロ神父は、代わりに赤土を水に溶かして石灰と砂をこね合わせたもので接合し、地元の自然石を不規則に積み重ねた丈夫な「ド・ロ塀」を考案したと言われ、授産場の基礎や壁体の大部分に使用した。

■旧出津救助院鰯網工場（ド・ロ神父記念館）。
1885年、旧出津救助院の向かい側に建設された木骨煉瓦平屋造りの建物で、当時盛んであった鰯網づくりの工場として建てられた。
1968年には増改築して「ド・ロ記念館」として開館した。

■外海(そとめ)の大野集落

禁教期の大野集落の潜伏キリシタンは、表向きは仏教徒や集落内の神社の氏子となり、神社に自分たちの信仰対象をひそかにまつって拝むことによって信仰を実践した。そのため、②潜伏キリシタンが信仰を実践するための試み　の段階の構成資産である。
また、この地域かもら多くの潜伏キリシタンが五島列島などの離島部へと移住し、彼らの共同体が離島各地へと広がることになった。
解禁後はカトリックに復帰し、「外海の出津集落」にある出津教会堂に通っていたが、その後、大野集落の中心に教会堂を建てたことにより、彼らの「潜伏」は終わりを迎えた。

■大野教会堂。
カトリック出津教会の巡回教会として、1893年にド・ロ神父が私財を投じ、集落の26戸の信徒の奉仕によって建てられた教会堂である。

大野集落も出津集落と同じく石積がよく見られます。

建物は手前の会堂部と奥の司祭室部から成る。
外壁は「ド・ロ壁」と呼ばれ、玄武岩の切石を漆喰で固めた壁となっている。

現在大野集落では集落民の大半は仏教徒となり、カトリック信徒は僅か8世帯11人となっている。そのため大野教会堂は使われなくなったが、年に一度だけここで記念のミサが行われている。

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